①「ゆうべ映画をみた」の「みた」をsaw, looked at, watchedで書き分けたとき、それぞれの意味はどのように異なるかを明らかにしなさい。
②英語で乗り物(車、タクシー、バス、列車、船、飛行機など)に乗り込むとき、2種類の表現がある。get inとget onの使い方を明らかにした上で、その区別の理由を推測しなさい。
③関係代名詞の制限用法(限定用法)と非制限用法(非限定用法)との本質的な違いを英語の具体例と共に説明しなさい。
④英語の時制体系をまとめた上で、日本語の時制との対応関係を論じなさい。
⑤英語の可算名詞(Count)と不可算名詞(Uncount)の区別を具体的かつ体系的に説明しなさい。
⑥ほぼ同じ意味を表すsubmitとturn inのようなペアに関して、後者の句動詞(動詞+前置詞・副詞)の特質を多くの英語の具体例と共に論じなさい。
①「ゆうべ映画をみた」における saw / watched / looked at の意味の違い
日本語の「みる」は非常に意味の幅が広く、英語ではその知覚の性質に応じて異なる動詞が用いられる。とりわけ see、watch、look at はいずれも視覚に関わる動詞であるが、意味と用法は明確に異なる。
まず see は、視覚に自然に入ってくるものを捉える非能動的な知覚動詞である。映画に関して I saw a movie last night. と言う場合、「映画を鑑賞した」という出来事そのものを経験したことを表す。この表現は映画館で映画を観た場合に特に自然であり、行為の過程よりも事実の報告に重点が置かれる。
次に watch は、動いている対象を意識的に一定時間見続けるという能動的な行為を表す。I watched a movie on Netflix last night. のように、テレビや配信サービスで映像の流れを追いながら鑑賞した場合に用いられる。ここでは、視聴者が注意を向け続けたというプロセスが強調される。
一方 look at は、「視線を向ける」という動作自体を意味し、内容を理解・鑑賞することは含意しない。I looked at the movie poster. のように、対象を視界に入れる行為を表すにとどまり、映画の内容を観たという意味では用いられない。
このように、「みた」という一語で表される行為も、英語では「出来事の経験」「能動的な注視」「視線の方向」という知覚の質の違いによって使い分けられている。
② get in と get on の使い分けとその理由
英語では乗り物に乗り込む際、get in と get on の二つの表現が用いられるが、その使い分けは恣意的な暗記ではなく、乗り物の構造と空間認識に基づいている。
get on は、バス・列車・船・飛行機などに対して用いられる。これらの乗り物は内部で立って移動できる程度の空間を持ち、床面の上に「乗る」という感覚が強い。get on a bus や get on a train では、足場に上がるという意識が前面に出ている。
一方 get in は、車やタクシー、小型ボートなど、内部が狭く、身体をかがめて入り込む必要のある乗り物に用いられる。get in a car という表現には、囲まれた空間の中へ侵入するという感覚がある。
この区別の背景には、前置詞の基本的な意味がある。on は「表面・上への接触」を、in は「境界に囲まれた内部」を表す。つまり、内部で自由に動けるかどうか、また床を意識する構造かどうかが判断基準となっている。
このように、get in と get on の違いは、英語話者の空間的認知に根ざした合理的な区別である。
③ 制限用法と非制限用法の本質的な違い(
関係代名詞の制限用法と非制限用法の違いは、関係節が名詞の特定にとって不可欠かどうかという点にある。
制限用法では、関係節は先行詞を限定・特定するための重要な情報を提供する。
例:The apple which is red is sweet.
この文では、「赤いリンゴ」がどれであるかを示しており、関係節がなければ意味が成立しない。
一方、非制限用法では、先行詞はすでに特定されており、関係節は補足的な情報を付け加える役割を果たす。
例:That apple, which is red, is sweet.
ここでは、「あのリンゴ」という対象は明確であり、「赤い」という情報は追加説明にすぎない。
この違いは、関係節を取り除いても文が成立するかどうかで判断できる。制限用法では不可、非制限用法では可能である。
したがって、両者の本質的な違いは文法形式ではなく、情報の役割と必要性にある。
④ 英語の時制体系と日本語との対応関係
英語の時制体系は、「時」と「相」の組み合わせによって体系的に構成されている。現在・過去・未来という時間軸に、単純・進行・完了・完了進行という相が加わることで、多様な意味を精密に表現できる。
特に重要なのが現在完了形である。I have lost my key. は、過去に鍵を失くした出来事が現在にも影響していること、すなわち「今も持っていない」状態を示す。
一方、日本語の時制は基本的に「非過去(ル形)」と「過去(タ形)」の二分であり、未来は現在の延長として表される。完了の意味も、文脈や副詞によって補われることが多い。
このため、英語の現在完了と過去形の区別は、日本語では明確に対応させにくく、日本人学習者にとって習得が難しい要因となっている。
⑤ 可算名詞と不可算名詞の区別
英語における可算名詞と不可算名詞の区別は、対象を「一定の形を持つ単位」として捉えられるかどうかに基づく。
可算名詞は、明確な形を持ち、数として数えられる。apple や dog はその典型であり、複数形を取ることができる。
一方、不可算名詞は、形が一定でなく、分割しても性質が変わらないものを指す。水や空気のような物質名詞、情報や助言のような抽象名詞、家具のような集合名詞がこれに当たる。
例えば bread は不可算名詞であり、切っても依然としてパンであるため数えられない。数える場合には a slice of bread のように単位語を用いる必要がある。
このように、可算・不可算の区別は世界の捉え方の違いを反映している。
⑥ submit と turn in に見る句動詞の特質
submit と turn in はともに「提出する」という意味を持つが、語源と用法に違いがある。submit はラテン語由来で、抽象的かつフォーマルな語であり、論文や公的文書で用いられる。一方 turn in は日常的な句動詞である。
句動詞の特質は、基本動詞に方向や結果を表す語を加えることで、具体的な空間イメージから意味を拡張する点にある。
give up(上に投げる→諦める)、take off(離れる→離陸する)などがその例である。
turn in も「内側へ向けて差し出す」という物理的イメージから「提出する」という意味が生じている。
このように、句動詞は意味の具体性と親しみやすさを持ち、口語で多用されるのに対し、一語動詞は形式張った場面で選択される傾向がある。
